有給休暇のルールを社労士が解説|知っておきたい付与日数・パート・年5日義務

「来週、お休みをいただいてもよろしいでしょうか……」
有給休暇を申請するとき、少しドキドキされた経験はありませんか? 受け取る社長さんも、「お休みは大切にしてほしいけれど、業務が回るかしら」と、気持ちが揺れることがありますよね。

厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査」では、有給休暇の取得率は65.3%で、1984年の調査以降もっとも高くなりました。政府は2028年までに70%という目標を掲げていて、まだ道の途中です。

この記事では、有給休暇のルールの基本を、社長さんにも社員さんにも分かりやすくお伝えしますね。

目次

有給休暇の付与日数と発生条件

有給休暇が発生する2つの条件

有給休暇は、次の2つがそろったときに、正社員・パートなどの雇用形態にかかわらず生まれます。

  • 雇い入れの日から6か月間、続けて勤務していること
  • その期間の全労働日の8割以上、出勤していること

週30時間以上、または週5日以上働く方は、6か月後に10日が付与されます。その後は1年ごとに増えて、勤続6年6か月以上で年20日が上限です。

パート・アルバイトの有給休暇は?比例付与の日数

「週2日のパートだから、ないですよね?」というご質問をよくいただきますが、そんなことはありません。週の所定労働時間が30時間未満で、所定労働日数が週4日以下(年216日以下)の方には、日数に応じた「比例付与」があります。たとえば週2日勤務(年73日~120日)の方なら、6か月後に3日が付与されます。

出勤率の計算で「出勤」とみなされる日

お仕事中のケガや病気での療養、産前産後休業、育児休業、介護休業でお休みした期間と、有給休暇を使った日は「出勤したもの」として数えます。休職期間も、在籍期間に通算されます。育休などをとられた方も、どうぞ安心してくださいね。

有給休暇の理由は「私用」でOK?時季変更権とは

理由は自由・会社の承認は不要

有給休暇は、働く方が指定した日に与えるのが原則で、会社が「許可する」ものではありません。何に使うかも自由ですので、理由は「私用のため」で十分です。

時季変更権が認められる場合

とはいえ、会社にも事業を守る立場があります。その日に休まれると「事業の正常な運営を妨げる」場合に限って、別の日に変更をお願いできる「時季変更権」があります。ただし、「忙しいから」「人手が足りないから」というだけでは認められません。シフトの調整や代わりの方の手配など、会社としての工夫も求められます。

トラブルを防ぐには、就業規則で申請の手順(何日前までに、どの方法で)を決めておくと安心です。

半日・時間単位で取れる有給休暇

「午後だけ病院に行きたい」「1時間だけ役所に行きたい」。そんなときに助かるのが、半日・時間単位の有給休暇です。

半日単位は、就業規則などで定めれば取得できます。時間単位は、労使協定を結ぶことで、年5日の範囲内で取得できます。届出は不要ですが、保管と従業員への周知は必要です。

有給休暇の年5日取得義務とは

対象者と罰則

2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される方には、付与日から1年以内に5日を取得していただくことが、会社の義務になりました。パートさん・アルバイトさんも、10日以上付与されれば対象です。違反すると、30万円以下の罰金の対象になることがあります。

会社が時季を指定する場合のルール

取得が進まないときは、会社が時季を指定することもできます。その場合は、必ず事前に本人の意見を聴き、できるだけ尊重します。就業規則への記載も必要です。なお、時間単位で取った分は、5日には数えません。

取得を進める計画年休

「なかなか言い出しにくい」という職場には、計画年休がおすすめです。労使協定を結ぶことで、5日を超える部分について、お盆や年末年始などにあらかじめ休む日を決められます。会社も社員さんも、予定が立てやすくなりますよ。

年次有給休暇管理簿の作成と保存

会社には「年次有給休暇管理簿」を作り、有給休暇を与えた期間中と、期間満了後3年間保存する義務もあります。

有給休暇の賃金・不利益取扱い・時効

  • 賃金:通常の賃金・平均賃金・標準報酬日額のいずれかを、就業規則であらかじめ定めて支払います。
  • 不利益取扱い:取得したことで、精皆勤手当や賞与を減らすなど、不利益な扱いをしないようにしなければなりません。
  • 時効:付与日から2年です。使い切れなかった日数は、翌年に繰り越されます。

まとめ

有給休暇は、心と体を休めて、また元気に働くためのエネルギーチャージの時間です。「お互いさま」と言い合える職場は、安心して長く働ける職場でもあります。就業規則の整え方や管理簿の作り方などで迷われたときは、いつでもお気軽にご相談くださいね。

参考:厚生労働省「確かめよう労働条件 年次有給休暇」/長野労働局「労働条件ハンドブック」

【免責事項】
本記事は、2026年10月30日時点の法令・公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案への法的助言ではありません。実際の取り扱いは、就業規則、労使協定、雇用契約の内容や個別の事情によって異なります。法改正等により内容が変わる場合もありますので、具体的な運用や判断は、社会保険労務士などの専門家や労働基準監督署にご確認ください。

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